貴族出身の詩人
【Mermaid】今回はUK出身の詩人、Lord Byron-George Gordon Byron(1788-1824)を紹介します。色々とエピソードのある方ですからね。
【Clarimonde】そうですね。ではどうぞ。
【Mermaid】父は軍人のJohn "Mad Jack" Byron、母はCatherine Gordon。ジョンは二回目の結婚で早々にキャサリンの持参金を使い果たしてしまい彼女は相当に苦労した。が、五代目William Byron(ジョージの大伯父)が亡くなったので10歳にして六代目になることが決まった。
【Clarimonde】他力本願とは言え大逆転ですね。人生幸先のいいスタートじゃないですか。
【Mermaid】彼の学歴は名門私立学校の Eton v Harrow(ハロー校)→ Trinity College, Cambridge(ケンブリッジ大学)。ハロー校時代は水泳少年でした。
【Clarimonde】別に構わないですけど、それはどうして?
【Mermaid】彼は生来右足が彎足だった。そのハンディキャップが水泳はそれほどでもなかったからです。人魚としては少しうれしいですね。
【Clarimonde】少し思うこともありますがね。
【Mermaid】ケンブリッジ大学進学後は父ジョンのように放蕩者になりかける。まあ当時の貴族は大なり小なりそんな感じでしたが。
【Clarimonde】私も大体同意します。
【Mermaid】1807年に彼は初めての詩集を出版。詩人としての第一歩を踏み出した。
【Clarimonde】え?その前にも詩集を出したときいてますが・・・。
【Mermaid】内容に問題ありと非難されて渋々回収・絶版・処分しちゃったんです。だから実質的スタートはこれです。
バイロンの運命を決めた?欧州旅行
【Clarimonde】それから先をお願いします。
【Mermaid】はい。1809年に(UKを除く)欧州旅行に出かけました。当時のUKの貴族は社会に出る前に見聞を広める総仕上げに大陸旅行をするものなのです。フランス・イタリア・ポルトガル・ギリシャなど。西欧・南欧を旅したようですね。
【Clarimonde】そういえば私もそんな風情の人々を昔何度か見たことがあります。あれは大学生だったのか・・・。
【Mermaid】1812年、詩集"Childe Harold's Pilgrimage"(「貴公子ハロルドの巡礼」)がUKで大ヒット。これから彼は社交界でモテだした。1815年にAnnabella Milbanke(アナベラ・ミルバンク。数学者でもある)と結婚するが16年別居。またジョージはUKを去り南欧はヴェニスに移住する。その後彼がUKの土を踏むことはなかった。
【Clarimonde】”ヴェニス”というのは、当時のイタリア半島に”イタリア”という国はまだなかったのですねぇ。しかしどうして別居(離婚?)したのですか?
【Mermaid】アナベラは生来生真面目な女性で、色んな意味でタガが外れているジョージとは合わなかったようです。
イタリア半島で奔放に暮らすバイロン
【Clarimonde】でも、南欧イタリアでは楽しく暮らしていたと聞いています。
【Mermaid】そりゃあもう。色々な女性と浮名を流したそうですから。最終的にはTeresa, Contessa Guiccioli(ギッチオーリ伯爵夫人テレサ)の愛人になったのかな。
【Clarimonde】まあまあ(ハート)でも当時のイタリア半島諸都市では、既婚女性は世間一般公認の愛人を持てたのです。これはイタリアじゃないけど「三銃士」でもそうでした。
【Mermaid】本当ですね。私的にはいい習慣だと思いますよ。倭国は女性の奔放さには目くじらを立てるみたいですが・・・、そろそろ本題に戻ります。詩人として活動もしながらいろんな人に会って人脈も作っていたみたいです。
バイロン卿と政治活動
【Clarimonde】確か政治活動もしたんですよね。まあ詩人ですから感受性が常人よりもずっと強いのでしょうが。
【Mermaid】そうです。1820年にカルボナリ党に入党しています。1821年には拠点をラヴェンナからピサに移す。ちょうど同年、ギリシャ独立戦争が勃発。あれこれ金策して1824年1月に彼らはギリシャ(メッサロンギ)に上陸。当地では大歓迎されました。
【Clarimonde】当時はオスマン帝国領土でした。
【Mermaid】しかし・・・同年4月にジョージは急な大雨に遭って風邪をひき、そしてそれをこじらせて亡くなりました。享年36歳。
【Clarimonde】風邪?肺炎かもしれないな。雨も風邪も人間にとっては馬鹿にできませんね・・・。
Lord Byron's seclet topic(1st)
【Mermaid】さて、ここからは歴史のわき話。実は彼には面白いエピソードがあるのです。彼には母親違いの姉Augusta Maria Leighタがいました。彼女には娘のMedora(Elizabeth Medora Leigh)がいました。彼女の名前はバイロン卿の詩の登場人物に由来します。
【Clarimonde】あぁ、アレですね。どうぞ。
【Mermaid】そのメドーラの”生物としての父親”が、何を隠そうバイロン卿なのです。
【Clarimonde】まぁ、なんてことでしょう(ハート)これもアナベラとの不和につながったのでしょうか?
【Mermaid】おそらくね。
【Clarimonde】しかし倭国の物書きもダメですね。この辺を知っていればもっと面白いコンテンツが作れそうななのに・・・。
【Mermaid】あの倭国村では、教養があると迫害されますから。ちなみにバイロン卿とアナベラの間にも娘Ada Lovelaceがいるのですが、彼女も母に似て物凄い数学者でした。
Lord Byron's seclet topic(2nd)
【Clarimonde】何故私が呼ばれたのか。大体見当はついていましたがどうぞ。
【Mermaid】はい。実はバイロン卿は人間じゃなかったりするのです・・・!John William Polidoriの小説"The Vampyre"に登場するのモデルが彼そっくりですから。
【Clarimonde】多分本人ですよ。肺炎で死の床について本格覚醒したはずです。いろいろと乱倫もありますし・・・。
【Mermaid】そうかもしれませんね(笑)。
【Clarimonde】なお彼は私とは系統の異なるタイプなので、面識はほとんどありません。向こうが私を知ってるかどうかはさておき・・・。