Clarimonde explains this novel.
【Mermaid】今回は"Deux acteurs pour un rôle"を紹介します。著者はThéophile Gautierで、1841年の作品です。
【Clarimonde】別に構わないのですが、フランス人のゴーティエがVienne(Wien)を舞台とした小説を書くのが妙です。悪いことではありませんが。
【Mermaid】確かゴーティエはE.T.A.Hoffmannの最大のフォロアーでしたよね?ホフマンを目指したな、という気がします。
【Clarimonde】そうですね。ゴーティエの作品中では”ホフマンらしい”ものでしょう。人魚ちゃんはこれが上手くいったと考えますか?
【Mermaid】うーん、どうでしょうか・・・。ではクラリさん、紹介をお願いします。
Un rendez-vous au jardin impérial
【Clarimonde】学生(専攻:神学)のHenrichは舞台役者もやっていてなかなか評判だった。特にle Diableの役が当たっていた。彼はかなりの自信家で自分の舞台に自信があり、またとても芝居(演技)が好きだった。彼にはKatyという信心深い恋人がいた。彼女はHenrichに将来設計を熱く語るがあまり相手にされなかった。それだけ芝居に引きつけられていたのです。
【Mermaid】何事であれ向いている仕事には熱中するものですから、それ自体は自然でしょう。
Le Gasthof de l'aigle à deux têtes
【Clarimonde】舞台は居酒屋「双頭の鷲」に移ります。欧州やその近辺から集まってきたお客でごった返す店内。Henrichは役者としても名前と顔が売れているんで人気者だった。彼をほめたりからかったりと賑やかで楽しい。
【Mermaid】へぇ、話を聞くだけで楽しいのが伝わってきます。たとえそれがテーマではないのだとしても。
【Clarimonde】ええ、もちろん。隣のテーブルについていた男性は不快そうな表情をしていた。Henrichの友人が彼に話しかけたところ、彼はHenrichの芝居を一定評価した上で「彼は本物を見たことがない」と言う。
【Mermaid】まぁ、そういう方はたまにいますね。
【Clarimonde】えぇ。だが”参考例”まで実演して見せたのでみんな驚く。しかも次の瞬間には何故かいなくなっていた。
【Mermaid】むむ。彼はただものではないですね。
Le théâtre de la porte de Carinthie
【Clarimonde】だがHenrichはそれから彼と会うことはなかった。それからほどなくして、新しい芝居の舞台に立つ。芝居はまぁ上々。
【Mermaid】そこで居酒屋の男と再会するのですね?
【Clarimonde】えぇ。観客席の一番前に座っていたのです。もうこれは悪い予感しかしませんよね?で、Katyの持たせたお守りが役に立つのですが・・・。