要約すると宴会の話
【Zhener】今回紹介するお話はQu You(瞿佑)の"The Banquet Party that is hosted by DragonKing in Wujiang"『竜堂霊会録』（「燈灯新話」）です。うぅむ、大陸なのに”龍”ではなく”竜”かよ。それと"DragonKing"でなく"DragonLord"の方が良かったかな？宴会がテーマなのかな。
【Sutoku】宴会ですか・・・ところで真児さん、何故私みたいなのが今回ここに呼ばれたのですか？
【Zhener】ん？それはそのうち分かるよ。なお単なる宴会ではない。一流の人物が集まる宴会だったのさ！
【Sutoku】一流の人物・・・それは楽しみですね。
美しい川の美しい龍
【Zhener】作品の舞台はSuzhou(蘇州)のWujiang(呉江)の竜王堂。近くには呉松江とTaihu(太湖)がある。元の元統年間（1333-1334）の詩人である聞子述が主役。彼が呉江を下っている途中で竜巻に遭う。その中には白龍がいて、子述はその美しさに心を奪われて詩をしたためた。その後で魚頭の夜叉が彼を訪れた。夜叉は龍王の使者で、龍王が子述の詩に感激したので是非宴会に招きたいとのこと。
【Sutoku】冒頭から読者の関心を得る方法が上手ですね。私も歌人（詩人）として見習いたいものです。
【Zhener】そして宴会には子述のみならず他の賓客もいた。まず越の范相国。次に晋の張使君。そして唐の陸処士。
【Sutoku】この小説の時代設定は明帝国初期ですよね？皆亡くなった方々じゃないですか。
【Zhener】でも、一流の人物ばっかりでしょ？そして最後に呉の伍子胥がやってきた。この五人が楽しくお酒を飲んで御馳走を食べてそれぞれが詩を披露する、まぁ楽しいお話なのよ。
【Sutoku】・・・確かに一流の人物ぞろいですね。でも確か、越の范相国って・・・。
伍子胥、范相国を非難する
【Zhener】左様、范相国がいた頃の越（王：句践）は呉（王：夫差）を滅ぼしたからねぇ。その范が上座から動かないので伍は彼を非難するわけだ。「薪を売り歩いていた女（Ms.Shi that lives in WestVillege/西の村の施さん）を夫差に贈って骨抜きにした」とかな。それまで復讐のために薪の上に寝ていた奴が毎晩美女の上に寝ていたもんだからそりゃ国だって傾こう。四六時中そうしていたわけでもなかろうが。
【Sutoku】（分かっていたけど、この人本当に下品だな・・・）まぁ、確かに褒められたことではないでしょうね・・・。
【Zhener】他にも大臣やめてから商人に転身して大成功したこととかを非難されてたな。そうすることが真に悪いかどうかはさておき。
倭国への影響
【Sutoku】・・・さて、倭国での影響についてお尋ねします。やはりRyoi Asai(浅井了意)あたりが翻案したんですか。
【Zhener】一応ね。そしてアタシらが徹底的に憎悪するあの頭の悪い蟹男が翻案しやがったんですよ。いや例によって”翻悪”かな？
【Sutoku】まぁ物語構成が相当変わるので、確かにそう評価されても仕方ないですね・・・。冒頭のような美しさもないし。
【Zhener】アンタ、何か不平不満がありそうだな？じゃあ尋ねるぞ。”殺生関白”が一流の人物だったと言えるか？
【Sutoku】確かに・・・伝聞であれ史実であれ、流石に一流とは言えないでしょうね・・・。
【Zhener】どうせならアンタが演じる方が良かったんだよ、どのみち一流の人物とは言えないけど。アンタがアンタの甥に「やいこの野郎、俺をあんだけいじめやがって絶対許さねぇぞ！」とか毒づく方が面白かったのに・・・。まぁ、蟹男はペン（筆）で飯が喰えなかった輩だからなぁ。
【Sutoku】・・・・・・
【Zhener】で、甥も返してくるのよ。「じいちゃんのお古ってだけでもアレなのに、托卵されてたなんて・・・」って。
【Sutoku】うぅ、今回も来るんじゃなかった（震えながら咽び泣く）・・・。
太湖のほとりは倭国でも有名？
【Zhener】そうそう、ここで”Taihu(太湖)”が出てくるんだよな。倭国ではこの都市は歌謡曲・・・演歌になってるな。それも失恋旅行の歌。あれ、太湖のほとりに本当に記念碑が立ってるんだろ？
【Sutoku】あぁ、「無錫旅情」ですね？私も当時よくカラオケで歌いました！あの頃は倭国では不動産バブル、飛ぶ鳥を落とす勢いだったなあ（現在は凋落を通り越して沈没寸前ですが）。トレンディエースとかトレンディドラマとかの時代にこんな曲があったんですねえ。ハワイやカリフォルニアには石碑は建ってないでしょう。あまり関係ないのに、何だか嬉しいですね。
