This novel is the famous one of "LiaoZhai".
【Zhener】小説解説の記事です。今回は"Nie Xiaoqian(聶小倩)"を取り扱います。ええと、確か『聊斎志異』の中ではこれがもっとも知られているのですよね。
【BaiNiang】そうですね。やはり映像化されたこと、そしてそれが興行的に評価されたことが大きいのでしょう。
【Zhener】はあ・・・映像化かあ。アタシにはきっと縁がないことだ。
【BaiNiang】真児、がっかりする必要はありません。まだまだ分かりませんよ?それと、あなたに粗筋の紹介をお願いします。
Plot of this novel
【Zhener】そうですね・・・それでは。Ning Caichen(甯采臣)は浙江省出身の書生である。彼は科挙受験の為街に出てきた。彼は宿代を浮かすために人気のない蘭若(Temple)に泊まった。もっとも、そこにはYan Chixia(燕赤霞)というShǎnxī Shěng(陝西省/秦)訛の男性がいたのだが。しばらくすると夜に18歳くらいの美女(美少女?)が誘惑しにやってきた・・・が、彼はそれらをことごとくはねつけてしまう。
【BaiNiang】彼はとても実直な人物なのです。
【Zhener】美女は甯采臣にいたく感心し、自分の素性を彼に話す。彼女はNie Xiaoqian(聶小倩)という名前の幽霊で、妖怪に自分の遺骨を取り上げられている。そのために逆らうことも逃げることもできず、彼らの餌食となる男性を誘惑するあさましい仕事を強制されている。自分を助けてほしい。
【BaiNiang】しかし甯采臣さんは実直かつ豪胆とはいえ、一介の書生にすぎません。妖怪と対決する力はないでしょう?
【Zhener】姐姐、ありがとう。聶小倩は彼に教える、「奇人(普通の人ではない)の燕赤霞さんを頼れ」と。次の晩、燕は妖怪を撃退した。彼の自己申告によると剣客らしい。また妖怪が手出しできないほどの凄腕でもあった。その後甯采臣が故郷に帰る際に餞別として「古びた革袋」をくれた。剣の鞘代わりだったようだ。
【BaiNiang】小倩さんはどうなったのですか?
【Zhener】小倩の遺骨は白柳の上の烏の巣にあり、甯采臣はそれを回収した。出発する直前、彼女は彼の背中に声をかけ、自分も連れて行ってほしいと頼んだ。彼は快諾した。そして彼の実家での生活が始まる。しかし金華の妖怪もこのままにしておくつもりはなかった・・・さあどうなる!
【BaiNiang】真児、編集者だけでなく講談師も並行してみてはどうですか(微笑)?
カップルの満足と不満
【Zhener】登場する主人公カップルについて。まず甯采臣。映画だとLeslie Cheung(張国栄)か。あいつ、いい役者を当ててもらったなあ・・・のちに赤いハイヒールとスパンコールのブーツカット履いてるとは思えない。
【BaiNiang】真児、それはいいでしょう。一般に実直かつ豪胆な人物には妖怪や悪霊は手出しできません。彼は特殊な能力は一切持っていませんが、その人物故に妖怪を遠ざけられたのです。
【Zhener】悪意のない妖怪はその限りじゃないんですよね?
【BaiNiang】ええ、それは私たちがもっともよく知るところです。
【Zhener】一方、ヒロインの聶小倩。うおおっ、彼女を演じたのがJoey Wong(王祖賢)、うらやましい・・・!アタシは正直不満かな。小倩は単に助けられるだけ、守られるだけの人物だから。いいところの娘さんなので教養もあるし人格もそれなりに煉られているけど、それだけ。彼女と私は面識あるんで言いづらいけど・・・。
【BaiNiang】確かにそうですね。聊斎先生の作品には自分の意思で行動する魅力的なヒロインがそれなりにいます。彼女たちと比較すると小倩さんは劣るでしょうね。しかし、もしそうだと彼女は自分で問題を解決してしまうことになる。そして采臣さんと出会う理由がなくなってしまう。
【Zhener】・・・そうだ・・・両立は難しいのか・・・。
【BaiNiang】人格・目的・実力を兼ね備えているヒロインは魅力的ですが、この作品には必要なかったのでしょう。
Yan Chixia, he is mysterious swordsman...
Is he swordsman?
【Zhener】主要登場人物の最後の一人、燕赤霞。このおじさんは自らを剣客と言っているが、明らかに彼の能力はその範疇を超えている。姐姐、彼は一体?
【BaiNiang】確かに真児の言う通りですね。実際小倩さんも燕さんを”剣仙”と呼んでいます。また采臣さんは彼に術を教えてもらおうとしたのですが、彼は「然君犹富貴中人, 非此道中人也。」と言って断りました。その代わりに餞別の革袋をもらったのですが。
【Zhener】ということは、燕は道士なの?
【BaiNiang】私は事情があって詳細には話せません。確実なのは彼の役割は一切の見返りを求めない”呪的援助者”である、ということです。
作品の評価としては?
【Zhener】物語の性質上仕方なかったとはいえ、ヒロイン小倩の魅力がイマイチなのはマイナスポイントかな。翻案しやすいのは後世の物書きを助けたといえるが。
【BaiNiang】私は『聊斎志異』の入口として機能している点を評価しています。ここから入ってちゃんと読んでいるかどうかはさておき。
【Zhener】それに、やっぱり面白い。ああ、これ読むとあのバカタレをぶん殴ってやりたくなったよ。
【BaiNiang】・・・あまり感心しませんが、私はあなたの気持ちは分かります。