あまり言及されない話
【Mermaid】今回は『聊斎志異』から"Qing'é(青娥)"を紹介します。あまり話題にはされないのですよね。
【Zhener】まあ、『聊斎志異』の中では印象が薄いですからね。
簡単な粗筋
【Mermaid】真児さん、粗筋をお願いします。
【Zhener】はい、それでは。山西省に霍桓(Huò Héng)という少年がいた。出来のいい子供だったが母が過保護(父は既に他界)だったのでほとんど外に出してもらえなかった。彼の近所には武(Wu)という一家が住んでいて、その主は老荘思想に凝っていた。この家は青娥という一人娘がいる。彼女の年齢は桓より一歳上。大層美人なのだが、あまり外に出してもらえない。桓は青娥に会いたがっていたが、その方法がなかった。
【Mermaid】まあ、そうでしょうね。
【Zhener】そうこうしているうちに、桓は一人の道士に出会う。
キーアイテムは”のみ”
【Mermaid】私たちが言うのも何ですが、怪しそうな道士ですね。
【Zhener】まあね。彼は桓に一本の镵(ノミ)を披露する。それは硬い壁でもまるで豆腐でも削るようにバリバリ穿ってしまう特殊なのみだった。しかもこれを無償で譲ってくれるというのだ。悪い予感しか私にはしないね。
【Mermaid】悪用するしかなさそうな気がするのですが・・・。
【Zhener】で、案の定そうするわけです。桓は青娥に会いたいので武家の屋敷の塀にこれで穴をあけ、彼女の部屋に入り込み、そこで疲れて寝ていた。それも青娥の隣で。
【Mermaid】あらまあ。
【Zhener】桓は屋敷の使用人たちに発見され大騒ぎになる。まだ子供だったこと、それなりの家の息子だったこと、あと壁に穴をあけて寝ていただけで青娥自身はなにかされたわけではなかったことから大目に見てもらい、ついでに許婚にしてもらった。
【Mermaid】展開が早すぎやしませんか?
【Zhener】そして時間は流れて。霍恒と武青娥はめでたく結婚したのですが、しばらくしてその青娥がみかまってしまった!
【Mermaid】ああ、なんということか・・・。
【Zhener】しかし恒はどうもあきらめきれない。そして話は妙な方向に転がっていく・・・。