"Der Sandmann" is short novel, but its quality is...

一般的なホフマンのイメージOrdinary Hoffmann's image

【Zhener】今回は"Der Sandmann"(『砂男』E.T.A.Hoffmann, 1815)を紹介します。おお、"Der goldene Topf(『黄金の壺』)"の一年後か!リントホルストおじさん、アンタはこれをどう思う?


【Lindhorst】真児、あなたの質問の「どう思う?」の意味が私にはわかりかねますが。


【Zhener】出来栄えについて。"Sandmann"は" Goldene Topf"の後発だから、当然出来がよくなければ評価の対象にはならない。アンタの眼鏡では出来は良かったのか否か。


【Lindhorst】"Goldene Topf"の裏バージョン、という感想を私は持っています。



A short plot

【Zhener】この作品は『黄金の壺』の裏バージョンなのですか?簡単な粗筋をよろしく。


【Lindhorst】現在大学生のナタニエルは幼少期に苦しい思い出があった。まず夜の就寝時に「早く寝ないと月の裏側から砂男がやってきて眼球をくりぬくぞ」という脅しが怖くてたまらなかったこと。次に実家に出入りしていた不気味な風体の法律家、コッペリウスが怖くて嫌いだったこと。ナタニエルは父親の事故死は彼にそそのかされた結果だと信じて疑わない。しかし幼馴染兼婚約者のクララにそれらについて同意を求めるも、彼女は寄り添おうともしない。


【Zhener】実はクララはナタニエルが好きじゃなかったとか?


【Lindhorst】それについては後述。ナタニエルの通う大学にスパランツァーニ教授という物理学者が在籍するのだが、彼には娘がいた。名前をオリンピア。ナタニエルは偶然彼女を見つけてしまう。大変に容姿が優れているのだが、妙なところがある彼女に少し惹かれてしまう。


【Zhener】感受性の弱い連中からすると「浮気!」ってことになるんだろうな。


【Lindhorst】そしてナタニエルは晴雨計の訪問販売をしているコッポラという男性も嫌いだった。雰囲気がコッペリウスにどことなく似ている、と感じていたからだ。ナタニエルはその彼から望遠鏡を買ってしまう。偶然にオリンピアの姿をそれで捉えたからだった。


【Zhener】すごくいい加減な理由だな。


【Lindhorst】そしてナタニエルはオリンピアに夢中になる、クララなどどうでもいいほどに。しかし”彼女”にはある秘密があった・・・。


この作品には直接に"Sandmann"は登場しない

【Zhener】なぜHoffmannはタイトルを"Sandmann"にしたのか?この作品にはそれ自体は出てこないんでしょ?


【Lindhorst】ええ。コッペリウスないしコッポラはナタニエルがそう思っているだけで言及はないです。なのでほかの理由がある。この作品の重要アイテムは”眼”。見えるということはその一部である。それかな?


【Zhener】それにしても、コッポラはしつこい。どこまでもナタニエルを追いかけてくる・・・。


This is reverse version of "Der Goldne Topf".

【Lindhorst】私たちの場合と逆なんでしょう。"Der Goldene Topf"では私やSerpentinaはアンゼルムス君に対して悪意がなかった。しかしコッポラには悪意があった。それ以外の登場人物の役割はそれほど変わらないかも。


【Zhener】確かに、感受性の強いナタニエルはアンゼルムス同様に生きにくいでしょうね。


【Lindhorst】おっと忘れていた、オリンピアは我が娘ゼルペンティーナとは似ても似つかぬ!


Zhener & Lindhorst, they talk about "Olimpia".

【Zhener】Olimpia 。決して物言わぬ美女。スパランツァーニ教授の箱入り娘。彼女の役割は?


【Lindhorst】ここで"Sarrasine"La Sambinellaに言及する。オリンピアの役割は彼女と同じ、"Freaks"だ。普通にはいない存在で、異界に誘う役割を持つ。


【Zhener】なるほどね。


【Lindhorst】それとクララだが、ヴェロニカと同じ。基本的には魅力的な娘だが、現実の世界の住人。だからナタニエルの悩みや苦しみを”合理的に”とらえてしまったのだろう。


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